イギリスの小説家メアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」を発表して2018年で200年となる。生命の謎を解き明かした科学者ヴィクター・フランケンシュタインが死者の断片をつなぎ合わせて生み出した怪物は、その後、何百という芸術作品のテーマになってきたが、この小説で提起された「創造物による創造主への反乱」や「神に代わり生命を創り出すことの代償」、「性と生殖の分離」といった問題は、人工知能や幹細胞などにまつわる技術が飛躍的に発達する今日、古びるどころか、ますます現代的なものになってきている。
ゆえに、本展では、「フランケンシュタイン」が提起した問題に焦点を当て、中でも今日の芸術と通底する主題―「蘇生」「人新世」「生政治」―をもとに、9作家の作品を選んだ。一握りとはいえ、ここで紹介される5カ国の作家たちの作品には、「著作物としての生物」や「タンパク質による彫刻」、「人新世の芸術の原点としてのランドアート」といった芸術の表現媒体や歴史、制度に関わる新たな問題群が凝縮されている。本展は、近年、世界的な隆盛を見せ始めている芸術の新潮流「バイオアート」の最前線の一端を紹介するものであるが、バイオテクノロジーや生命に関係すればなんでも「バイオアート」といった形式的な分類や表面的な理解に与するものではない。アーティストたちが選び取ったそれぞれの表現媒体が、今日の歴史や社会の文脈の中でいかなる意味を生み出し、そしてその意味を超えたものをどのように内包させているかを今日の視点から問い直すものでもある。
本展が、生命創造の寓意が現実のものとなりつつある時代の新たな芸術の価値を位置付けるための手がかりとなり、その未来を少しでも感じさせることができたなら、これに勝る喜びはない。

髙橋洋介 
本展覧会企画 / 金沢21世紀美術館学芸員

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Pure Human ティナ・ゴヤンク 2016-

蘇生するユニコーン 平野真美 2014-

蘇生

「フランケンシュタイン」の怪物は死体を繋ぎ合わせることで誕生したが「死者を断片的に蘇生する」ことはバイオアートが伝統的な芸術に突きつける新たな主題である。古代から中世にかけて「死者の蘇生」は、キリストの復活や西行の反魂術など人為を超えた奇跡や超自然を表す表象であり、あくまで、社会に潜む不安や教訓の隠喩にすぎなかった。しかし、19世紀初期の「フランケンシュタイン」では、生命はもはや超自然や奇跡の類として描かれない。18世紀末に行われたイタリアの解剖学者ルイジ・ガルヴァーニの動物電気実験(死体の神経に電気を流すと腕や足が動くこと)などがこれまでの生命観を唾棄すべきものに変えたことが語られ、生物も他の物理現象と同じように再現・操作できるものとする近代の機械論的な生命観が現れ始めている。
80年代以降のゲノム学の飛躍的発達や、近年の幹細胞技術やゲノム編集の登場によって、このような生命観は、ますます当たり前のものになりつつあるが、それはまた、これまでは不可能だったアイデアを表現するための形式を芸術にもたらしている。
この章では、このような問題設定のもと、「蘇生」を主題にする。作品の表現媒体となる不死化したiPS細胞や、断片的な生体は、「生と死」、「身体」、「美」、「個人」といったこれまでの芸術の主題をいかに書き換えるのか、そして「蘇生」という表象はどのような新しい意味を担うのかについて3作家の作品を通して潜考する。

Pure Human

ティナ・ゴヤンク

夭折したファッション界の鬼才アレキサンダー・マックイーンの皮膚を幹細胞技術で再生し「ファッションの素材」にするプロジェクト《Pure Human》は、2016年にロンドン在住のデザイナー、ティナ・ゴヤンクによって発表された。まるで人間の皮膚のようなレザージャケットは、マックイーンの体型やホクロ、そばかすや刺青まで豚革で精巧に再現した試作品だが、実際にDNAを採取し、幹細胞に移植して皮膚をつくることに、マックイーンの《切り裂きジャックが犠牲者たちに忍び寄る》(1992年/作家の髪の毛を編み込んだドレス)の所有者は同意している。「フランケンシュタイン・ファッション」と揶揄された本作品は、遺品とは異なる形で「死者を纏う」ことの意味を問い、バイオテクノロジーが生み出すファッションの新たなフェティシズムの到来を予告する。

蘇生するユニコーン

平野真美

展示室の中央に横たわる瀕死のユニコーンは、本展最年少の平野真美が2014年から取り組む《蘇生するユニコーン》である。彼女は、神話上の生物であるはずの「ユニコーン」を、その骨格、臓器、血管、皮膚といったさまざまな部位から制作し、まるで実在するかのようにつくりあげる。進化論は神が人間をつくったという宗教の物語を破壊し、龍や妖怪といったものを迷信に変えたが、平野はあえてその想像上の存在を回復しようと試みる。瀕死状態から蘇生しようとするユニコーンは、いま失われつつある前近代の魔術性が、合成生物学や人工知能など科学技術が高度に複雑化し、まるで魔法のようになることで、現代に蘇りつつあることの優れた隠喩になっている。

Sugababe

ディムット・ストレーブ

ゴッホが切り落とした左耳を生きた状態で復元したディムット・ストレーブの《Sugababe》は、「タンパク質でできた彫刻」であり、話しかけると神経インパルスを模した音がリアルタイムで生成される仕組みを持つ。2014年のドイツのZKMの展示では、言語学者ノーム・チョムスキーが耳に語りかけるパフォーマンスを行い、その映像がBBCやCNNなどで報道され世界的な話題となった。父系の玄孫リーウ・ヴァン・ゴッホから提供された軟骨細胞に、母系の子孫の唾液から抽出したミトコンドリアDNAを導入することでつくりだされたゴッホの耳は、「他者の断片から合成された身体は、たとえ死者と同一のDNAを持つ細胞であっても本人のものといえるのか」というフランケンシュタイン的なパラドックスを提示し、逆らえない運命としての「死」の概念を揺るがす。

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Why Not Hand Over a "Shelter" to Hermit Crabs? AKI INOMATA 2009-

Everybody needs a rock 本多沙映 2016-

タール漬けの鳥 マーク・ダイオン 2003-

人新世

「フランケンシュタイン」の始まりと終わりの舞台は、北極の氷河だった。その時代、氷河は人間の無力さの象徴であり、まだ自然は、神のつくりしものだった。しかし、産業革命以降の科学技術の発展、人口の増加、資源消費量の増大によって、数億年かけて生成された化石燃料や鉱物資源が数世紀で枯渇し始めているように、自然は人間が効率よく急速に富を蓄積するための搾取の対象となり、その神秘性を失ってしまった。大気汚染(工場の排煙や自動車の排ガス)、海洋汚染(タンカーの座礁、プラスチックやビニールなどの廃棄物、家庭・工場からの排水、農薬や化学肥料の流入)、放射能汚染(原爆や原発事故)なども含めれば、かつてのような手付かずの自然を身の回りに探すことはいまや不可能に近い。実際、舞台となった氷河は、今や温暖化の影響でかなりの部分が溶け、かつての雄大な姿を失いつつある。
オゾンホールの解明でノーベル賞を受賞したパウル・クルッツェンらは、このように人為が自然を覆い尽くし、人間の活動が火山の噴火や津波、地震、隕石の衝突といった出来事に匹敵するほどの影響力を持つようになってきたことを2000年代初期に指摘し、新たな地質年代として「人新世」を提唱した。「人新世」の始まりは18世紀後半とされるが、「フランケンシュタイン」の主人公が、人工生命の創造に没頭していた時、美しい自然の風景にまったく心動かされなかったことは、自然を人為の及ばぬ崇高なものとして賛美したロマン主義にさえ、その凋落の兆しが記されていたことを示唆している。
この章では、「人新世」を主題に、このような「自然」や「崇高」の概念の凋落と現代美術の関係を4作家の作品とともに省察する。

Glue Pour

ロバート・スミッソン

ロバート・スミッソンの《Glue Pour》(1969)は、急勾配にオレンジ色の工業用接着剤を流した作品で、人造物によるマグマの擬態やモダニズムの抽象絵画の戯画になっている。同時に、毒性の高い人工物が自然を侵食していく本作は、崇高な自然が凋落し、不純になる様を捉えた「人新世」黎明期の芸術として位置付けられるだろう。

December 1969
Vancouver, Canada
Exhibition print from original 126 format color transparency, printed 2018
12 x 12 in.
Collection of Holt/Smithson Foundation
© Holt/Smithson Foundation, licensed by VAGA at ARS, New York

タール漬けの鳥

マーク・ダイオン

マーク・ダイオンのタール漬けになった鳥の彫刻や奇形化した鳥の写真は、社会の富を増加させるべく科学技術によって自然を支配することが、今日の環境汚染を誘発していることを暗示する。タール漬けになったバラバラの白い人形の破片は、石炭や石油といった近代の動力に人類が過度に依存していることを象徴すると同時に、再生医療や原子力発電、仮想通貨のように便利になればなるほど破滅のリスクが膨れ上がる現代の技術の両面に板挟みになっている私たちの状況を隠喩する。

Everybody needs a rock

本多沙映

ダイオンはまた《4つの偽の化石》などをつくり、大量消費時代の文明が地質にその痕跡を刻むことを予言したが、それはプラスチックの化石として2012年に現実のものとなった。本多沙映は、ハワイの海岸で発見された「プラスティグロメレート」(熱で溶けたプラスチックと火山岩、海砂、貝殻などが混じり合うことでできた新種の鉱物)から着想を得て、道端で拾ったプラスチックを、溶かし合わせ磨くことで唯一無二の人工石に変える。プラスチックは、1950年以来、60兆トンという地球全体を包めるほどの量が生産されてきたと言われるが、本多のプラスティグロメレートは、「第2の自然」として地表を覆う人為が生み出した現代独自の鉱物であり、人新世を閉じ込めた化石と解釈できる。

Why Not Hand Over a "Shelter" to Hermit Crabs?

AKI INOMATA

福島県相馬市で採取したアサリの貝殻の成長線を、3.11以前/以後の環境の変化を読み解く《LINES―貝の成長線を聴く》やファッションブランドの衣服で巣をつくるミノムシを作品化した《girl, girl, girl,,,》など、人工環境で生きる生物を人間の本質を映す鏡に変えてきたAKI INOMATAもまた人新世の芸術を代表する作家のひとりになりえるだろう。代表作《やどかりに「やど」をわたしてみる》は、ヤドカリを3Dプリンタで作られたさまざまな都市の模型に住まわせる作品で、ニューヨークから東京へ、東京からパリへと引っ越し続けるヤドカリに、移民の問題やグローバル化した世界におけるアイデンティティの問題を読み取ることもできる。一方で、人工物を受け入れ背負うヤドカリはリテラルに人新世―人間が他の生命を圧倒し、それゆえに自らも絶滅のリスクに晒す時代―を表す優れた隠喩となっている。

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Stranger Visions ヘザー・デューイ=ハグボーグ 2012-2013

BLP-2000B:DNAブラックリスト・プリンター BCL 2018-

生政治

「フランケンシュタイン」の怪物は、飢えに苦しみ、粗野な食事を続け、異質なものとして冷徹な差別を受け、海外への移住を申し出るが、怪物の増殖を恐れた主人公によって伴侶を殺され、その復讐の末に自殺した。その悲劇的な描写に、当時のイギリスの貧困層の状況と、1798年に発表された古典派経済学者ロバート・マルサスの「人口論」への批判が読み取れる。つまり、マルサスの「人口論」は、「フランケンシュタイン」の著者の父であったウィリアム・ゴドウィンの言説を反証するための書物であったが、「フランケンシュタイン」の著者メアリー・シェリーは、貧困と食糧不足の対策として人口抑制を説いたマルサスに潜む優生学的な思想―貧困層の飢餓、産児制限や海外移住の容認―を怪物の描写を通して批判し返している。
マルサスの人口論は、1801年に実施されたイギリスの初の人口統計にも影響を与えたが、それは、「従わなければ殺す」という論理による中世の政治形態から、福利厚生や福祉を目的に個人の生を情報(出生率、死亡率、健康水準、寿命、それらを変化させる条件など)に還元し、集中管理する近代的な政治形態―哲学者ミシェル・フーコーが「生政治」と呼んだもの―への変容の始まりでもあった。しかし、現在が、近代の生政治とも明確に異なるのは、1970年以降の遺伝子組換え技術を中心としたバイオテクノロジーの発達とその産業化によって、生命の情報化を推し進めた点にある。いまやDNAやタンパク質や細胞から抽出した生物学的な情報は、個人の健康や能力や外見とより密接に結びついた商品化可能なデータベースとして管理されるようになっている。
第3章では、このような現代の「生政治」に焦点を絞り、ミクロレベルの物質や生物学的情報に潜む政治と芸術の未来についてヘザー・デューイ=ハグボーグとBCLの作品を通して提示する。

Stranger Visions

ヘザー・デューイ=ハグボーグ

街角に落ちている髪の毛やタバコの吸い殻からDNAを採取し、落とした本人の顔を復元するヘザー・デューイ=ハグボーグの《ストレンジャー・ヴィジョンズ》は、自分でも気づかぬうちに周囲に撒き散らしているDNAから、性別、祖先、目や髪の色といった外見の情報、将来の病気のリスクなど、ときに本人さえも知らない個人情報を引き出せることを2012年に示唆した。この技術は、「DNAスナップショット」と呼ばれる犯罪捜査ツールとしてアメリカの国防総省の開発支援の元、既に実用化されており、その意味では、DNAによる監視と遺伝子決定論に支配された未来の「生政治」は現実のものとなりつつある。

BLP-2000B:DNAブラックリスト・プリンター

BCL

《ストレンジャー・ヴィジョンズ》が自らが生み出した技術に管理されることを問う作品であるのに対し、2018年にBCLが発表した《BLP-2000B:DNAブラックリスト・プリンター》は、人間はそもそも科学技術を制御できるのかという根本的な疑問を投げかける。パンデミックを起こす危険性を持ったウイルスの塩基配列などバイオ企業が合成を禁止しているDNA配列のみを作成して印刷する本作は、ゲノム編集などの登場によって生命を簡易かつ安価に編集できる現状が誰でも生命科学の発展に貢献できる可能性を開くものにも、新たなバイオテロの引き金にもなり得るというジレンマを提示し、どのような未来を選び取るべきかという議論を促す。

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作家 / 監修者 / 企画者 略歴

作家

ロバート・スミッソン

1938年ニュージャージー州(アメリカ)生まれ‒1973 年テキサス没。ランドアートとよばれる1960 年代後半の重要な美術運動を代表する作家のひとり。主な作品に「スパイラル・ジェッティ」(グレート・ソルト湖、1970)など。近年の主な大回顧展に「ロバート・スミッソン」(ロサンゼルス現代美術館、2004)、「ロバート・スミッソン:風景の発明」(ジーゲン現代美術館、ドイツ、2012)など。その活動は多くの作家に影響を与え、ヴィック・ムニーズやタクティカ・ディーンらがオマージュ作品をつくっている。

マーク・ダイオン

1961年マサチューセッツ州(アメリカ)生まれ。1986年、ハートフォード大学美術学校卒業。2003年、同大学名誉博士号。考古学や科学的な手法を転用した展示によって科学の「合理性」に疑問を投げかける作風で知られる。主な個展に「海洋マニア」(モナコ海洋博物館、2011)「考古学を救出せよ」(ニューヨーク近代美術館、2004-2005)、「マーク・ダイオンとテムズ川を掘る」(テートギャラリー、1999)など。主なグループ展に「ドクメンタ13」(カッセル、2012)など。主な受賞歴にラリー・オルドリッチ財団賞(2001)など。

ディムット・ストレープ

1967年ドイツ生まれ、ボストン在住。アーティスト。カントやウィトゲンシュタインなどの哲学的な主題を合成生物学や組織工学、天文学を用いて表現する作風で知られる。主な作品に言語学者ノーム・チョムスキーと生体工学者ロバート・ランガーとの共作《Yeast Expression》など。NASAやハーバード大学の生体組織工学者チャールズ・バカンティ、遺伝学者ジョージ・チャーチ、MITの航空宇宙工学者ブライアン・ワードルなど各分野の権威と作品を生み出している。主な個展に「ディムット・ストレーブ:Sugababe」(ZKM、ベルリン、2014)など。

ティナ・ゴヤンク

1990年スロベニア生まれ、ロンドン在住。コンセプチュアル・アーティスト/スペキュラティブ・デザイナー/研究者。2016年、セントラル・セントマーチンズ大学大学院修士課程未来素材専攻修了。同年、ミューレン・ロウ・ノヴァ賞およびエーダッシュデザインアワード衣服部門銀賞受賞。特にバイオテクノロジーを応用したファッションプロジェクト「Pure Human」で世界的に知られる。主なグループ展に「スペアパーツ」(サイエンス・ギャラリー・ロンドン、2018)、「バイオファブリケイト」(パーソンズ美術大学、ニューヨーク、2016)など。

ヘザー・デューイ・ハグボーグ

1982年、フィラデルフィア生まれ。ニューヨーク在住。パーソン公共空間に落ちている遺伝物質(タバコや髪の毛)を分析し肖像を制作した「Stranger Visions」など芸術と生物学を横断し、生政治を批判する芸術実践で知られる。主なパブリックコレクションにポンピドゥーセンター、V&A 美術館など。主な個展に「A Becoming Resemblance」(トランスメディアーレ、ベルリン、2018)、「Open Circuit」( ニューヨーク近代美術館PS1、2011)など。主なグループ展に「Future Design」(世界経済フォーラム、ダボス、2015)「GLOBAL」(ZKM、2015)など。主な受賞にVIDA特別賞(2015)など。

BCL

芸術を通して、科学やデザインなどの領域を超えた研究・実践を行うアーティスト集団。2004年にゲオアグ・トレメル(1977-)と福原志保(1976-)によってロンドンで結成。2007年より東京に拠点を移動、近年は特にバイオテクノロジーの発展が与える社会へのインパクトに焦点を当て活動を展開。近年の主な個展に「Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊」(金沢21 世紀美術館、2015-2016)など。主なグループ展に「アルス・エレクトロニカ2016『Radical Atoms』」(POSTCITY、オーストリア、2016)、「青森トリエンナーレ2017」(国際芸術センター青森、2017年)、「コレクション展2死なない命」(金沢21世紀美術館、2017-2018)など。

AKI INOMATA

東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。生き物との協働作業によって作品制作をおこなう。主な作品に、都市をかたどったヤドカリの殻をつくり実際に引っ越しをさせる「やどかりに『やど』をわたしてみる」、飼犬の毛と作家自身の髪でケープを作ってお互いが着用する「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」など。近年の展覧会に「Asian Art Award 2018ファイナリスト展」(Terada Art Complex、東京)、「Coming of Age」(Sector2337、シカゴ、2017)、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」(2016)など。2017年ACCの招聘でニューヨークに滞在。

本多沙映

1987年、千葉県生まれ。アムステルダム(オランダ)在住。2010年、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、2013年から2016 年までアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミージュエリー学科で学ぶ。代表作の「EVERYBODY NEEDS A ROCK」のうち3点はアムステルダムの市立近代美術館が所蔵。近年の個展に「FUTUREPRIMITIVE」(GALERIE ROB KOUDIJS、アムステルダム、2017)など。主なグループ点に「Ventura Lambrate 2017」(ミラン、イタリア、2017)、「国際北陸工芸サミット『ワールド工芸100 選』」(富山県美術館、2017-2018)など。

平野真美

1989年、岐阜県生まれ。東京藝術大学大学院先端藝術表現専攻修了。闘病する愛犬や、架空の生物であるユニコーンなど、対象とする生物の骨や内臓、筋肉や 皮膚など構成するあらゆる要素を忠実に制作することで、実在・非実在生物の生体構築、 生命の保存、または蘇生に関する作品制作を行う。主な個展に「蘇生するユニコーン」( ギャラリーマルヒ、2018) など。主なグループ展に「清流の国ぎふ芸術祭2017」( 岐阜県美術館、2017)、「トーキョーワンダーウォール2014入選作品展」( 東京都 現代美術館、2014) など。

監修者

飯田高誉

1956年、東京都生まれ。インディペンデント・キュレーター/スクールデレック芸術社会学研究所所長。
京都造形芸術大学国際芸術センター所長、。 青森県立美術館美術統括監、森美術館理事会理事などを経て、2018年に「スクールデレック芸術社会学研究所」を設立。近年の主な企画に「コンセプト・オブ・ハピネス アニッシュ・カプーアの崩壊概論」(GYRE、2017)、「アセンブル_共同体の幻想と未来」(GYRE、2016̶-2017)、「横尾忠則の「昭和NIPPON」-反復・連鎖・転移」(青森県立美術館、2013)、「超群島- ライトオブサイレンス」(青森県立美術館、2012)、「デヴィッド・リンチ ~暴力と静寂に棲むカオス」(ラフォーレ原宿、2012),「森万里子:再生 (Rebirth)」( ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ/ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク、2012-14)、「堂島リバービエンナーレ2011『Ecosophia』」(堂島リバーフォーラム、大阪、2011)、「戦争と芸術Ⅰ-Ⅳ」(京都造形芸術大学、2006-2009)な ど。主な著作に「戦争と芸術- 美の恐怖と幻影」(立東舎、2016)、「アートと社会」(竹中平蔵・南條史生編著/東京書籍、2016)など。

企画者

髙橋洋介

1985年、東京都生まれ。金沢21世紀美術館アシスタント・キュレーター。
東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。 青森県立美術館勤務を経て2014年より現職。金沢21世紀美術館での近年の主な企画に「DeathLAB: 死を民主化せよ」(2018-2019)、「バイオバロック」(2017)、「コレクション展2死なない命」(2017-2018)、「Ghost in the Cell: 細胞の中の幽霊」(2015‒2016) など。主な講演に「超人間中心主義のルネサンス」( 東京大学、2015) など。主な論考に「バイオファッションにおける半生命的素材の諸問題」『vanitas 005』(アダチプレス、2018)、「遺伝子組み換え生物体による『芸術の転換』をめぐって」『研究紀要R7号:特集 バイオテクノロジーと芸術』(金沢21世紀美術館、2017)、「日本現代美術における超人間中心主義」( 東京藝術大学、2012)、「ポスト人間中心主義と芸術」( ジェフリー・ダイチへのインタビュー/ Realkyoto、2009) など。2018年、美術手帖1月号「特集バイオアート」編集協力。専門は、ポストヒューマン美学および超人間中心主義の芸術。

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2018年のフランケンシュタイン
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芸術と科学と社会のいま

会期 : 2018年9月7日(金) - 10月 14日(日) / 11:00 - 20:00 / 無休
会場 : EYE OF GYRE / GYRE 3F
出品作家 : ロバート・スミッソン、マーク・ダイオン、ディムット・ストレーブ、ティナ・ゴヤンク、ヘザー・デューイ=ハグボーグ、BCL、AKI INOMATA、本多沙映、平野真美

主催 : GYRE / スクールデレック芸術社会学研究所
監修 : 飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所 所長) 
キューレション : 髙橋洋介(金沢21 世紀美術館 学芸員)
グラフィックデザイン : 長嶋りかこ(village®) 
施工:Suga Art Studio 
協力:Holt/Smithson Foundation、
Ronald Feldman Gallery、
FRIDMAN GALLERY、
SCAI THE BATHHOUSE、MAHO KUBOTA GALLERY、
HiRAO INC. 
CONTACT : GYRE(03-3498-6990)